令和で初めての衆院選が迫っている。今回の選挙戦では、与野党ともに新自由主義的なアベノミクスから距離を置き、各党が「富の再分配」をキーワードにした政権公約を訴えている。こうした背景に、今までの「平成デモクラシー」がいよいよ質を変えざるをえない局面を迎えることへの「政治の当惑」がある、と見ているのは政治学者の佐々木毅さん(79)だ。 元東大学長の佐々木さんは平成の政治改革の理論的なリーダーだった。1990年代の選挙制度改革で旗振り役を務め、その後も首相公選制の議論をまとめ、議員定数を減らす提言をするなど縦横無尽に活躍。政治のウラもオモテも知る平成デモクラシーの“生き字引”だ。