伊藤准教授は長年、将棋や囲碁のAIに関する研究を続けている。今回の研究は教え子で大学院2年の斎藤雅史さん(24)とともに実施。成果は17日、東京都内で開かれたゲーム情報学研究発表会で発表された。 研究では、日本将棋連盟の協力を受け、1985〜2021年度に全棋士が指した約23000局と、藤井六冠を含むトップ棋士9人が直近に指した約2000局の棋譜を一手ずつ解析。AIが形勢を判断する「評価値」がどのように推移したか調べ、新たに導入した「平均損失」という指標により、棋力が推定できることを確認した。 この平均損失は、棋士が「一手指すごとにどの程度形勢を損ねているか」を数値化したもの。人間はAIほど完璧に近い手を指し続けられないため、基本的にはマイナスで表示され、ゼロに近いほど棋力が高いと判断される。同じボードゲームであるバックギャモンで用いられる「エラーレート」の考え方を応用。分析に際しては、形