「あれは、この世にたった8年間だけ存在したユートピアで、誰もが戻りたいと思っている日々だ」 ハワイ、カウアイ島とニューヨークを繋ぐ電話口、落ち着いた声でゆっくりと“あの8年間”について話しだした。 いまは幻のユートピア、テイラー・キャンプ。その数年間、一人写真を撮り「そして、あの日々で私の写真人生は“変えられた”」という、写真家ジョン・ウィルへイムに話を聞いた。 13人のヒッピーとある女優の兄と、島 昨年の夏頃、ネットでも話題になったテイラー・キャンプ。別名「ヒッピーたちの理想卿」、ジョンが撮り続けたその生活と、裸の住人たちのセンセーショナルな写真は話題をさらった。 テイラー・キャンプの起こりは1969年。ベトナム戦争のまっただ中で、人間性の回復を求め、愛と自由とセックスを愛するヒッピー思想が根強く広まったときでもある。 「正義なきベトナム戦争」への反戦運動と比例しながら、戦時下に全米で大