(パン屋さんに来たはずなのに、なぜか背後には機関車が……) かつて日本には「ブルートレイン」のブームがありました。 「ブルートレイン」とは文字通り車体が青く塗装されたJR(国鉄)の長距離寝台旅客列車のこと。 電気やディーゼルの機関車が、ベッドで眠る人々を乗せながら、山を越え、海を望み、星降るの街を駆け抜けてゆく、そんな深夜特急のことをそう呼びます。 列車に揺られつつ、窓にさしこむ朝焼けの陽光でめざめる味わい深い旅情は人々を魅了し、ブルートレインは70年代後半から80年代にかけ、たいへんなブームを巻き起こしました。 水島新司さんが描いた野球漫画の不朽の名作『ドカベン』にもナイターにめちゃめちゃ強い「ブルートレイン高校」なんてチームまで登場したほどです。 しかし、ゆっくりと人々を運ぶブルートレインは、スピード時代の到来とともに次第に下火となります。 そして2000年代に入るとダイヤ改正で続々と