「メンタル・アカウンティング」という言葉をご存じだろうか。日本語では「心の家計簿」「心の会計」などと表現される行動経済学に基づいた理論で、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン氏なども、積極的に研究・実験に取り組んでいる。 「心の会計」とは 人間の心理は必ずしも合理的に働くものではない。「頭では理解しているにも関わらず、行動がともなわない」という矛盾は、誰の心の中にも潜んでいる。この矛盾を行動経済学の観点から見ると、お金の使い方は個人の価値観や必然性を基準に利益と損失を弾きだし、節約・浪費モードを切り替えていることになる。ここで働く心理を「心の会計」という。 例えば、急ににわか雨に降られ立往生する。雨宿りする時間の余裕がある時は、コンビニに飛びこんでビニール傘を購入するという行為は「無駄使い」になるが、時間に余裕のない時は「必要品の購入」になる。一本の傘の購入でも、心理状態によって