記憶破断者 作者: 小林泰三出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2015/08/06メディア: 単行本この商品を含むブログを見るホラーにSF、ミステリーにウルトラマン(?)とジャンルを特定せずに書いてみせる小林泰三最新長編『記憶破断者』は、記憶が数十分しか持たない一般的に言えば「不利」な側面を持った男が、しかしその特性ゆえに、特殊な能力を持った悪の殺人鬼に対抗していく死闘を描いた作品だ。この小説、構造と面白さのロジックがシンプルで、かつ導入の引きが素晴らしいのでその冒頭部分までをちゃちゃっと紹介して終わりにしてしまおう。逆にそれ以上紹介すると面白さを削ぐかもしれないし、それだけでも充分に引きつけられるはずだ。 主人公は前向性健忘症の男*1で、先に書いたように数十分しか持たない。記憶が特定の期間(一日だったり、数時間だったり数十分だったり)する事例は現実にいくつも報告されており、フィクション
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