ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (31)

  • 実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSFなデビュー作──『最後にして最初のアイドル』 - 基本読書

    最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA) 作者: 草野原々,TNSK出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/01/24メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る著者自身によって、「実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSF」という長すぎてTwitterに流しにくい、ジャンルだかキャッチコピーだかを名付けられ世に送り出された「最後にして最初のアイドル」。 書はその中篇を表題作として、ガチャと宇宙の真理に到達する「エヴォリューションがーるず」、声優たちが殺し合いエーテルに満ちた宇宙をかけめぐる「暗黒声優」の計三を収録した、著者草野原々のデビュー作品集である。世に出た最初の作品である「最後にして最初のアイドル」はもともとラブライブの二次創作同人誌を改稿してハヤカワのSFコンテストに送ってきた問題作だ(ちなみに特別賞を受賞した)。*1 「

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    x0raki 2018/01/28
  • ゾンビが跳梁跋扈する世界で発生する密室殺人──『わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』 - 基本読書

    わざわざゾンビを殺す人間なんていない。 作者: 小林泰三,YKBX出版社/メーカー: 一迅社発売日: 2017/06/30メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る「全人類の長期記憶が一斉に不可能になったら」という展開を大真面目に描く『失われた過去と未来の犯罪』。複数世界にまたがって展開するミステリ『クララ殺し』など、「よくそんな設定思いついたな」や「設定を思いついたとしてもよく書こうと思ったな/よく書ききったな」とただ驚愕してしまう作品を昔から連発している小林泰三さんの最新刊は、死んだ哺乳類(人間含む)がゾンビになる世界、ゾンビが当たり前になった世界で起こった密室殺人事件を描くゾンビ・ミステリーだ。 世界観を紹介 ゾンビと一言でいってもいろいろなバリエーションがあるので、世界観含め軽く紹介していこう。まず書のゾンビは、死者が生き返るタイプのもので、噛みつかれた上で"死

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    x0raki 2017/07/04
  • 二つの世界を行き来する幻想ミステリ──『クララ殺し』 - 基本読書

    クララ殺し (創元クライム・クラブ) 作者: 小林泰三出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/06/30メディア: 単行この商品を含むブログを見る書『クララ殺し』は2013年に出た同著者の『アリス殺し』の姉妹編にあたる。 続編といえば続編だが、登場人物が一部共通しているぐらいで話は別物なので書から読んでもいい。ファンタジー的な世界観から生み出される特異な状況がミステリとよく噛み合い、ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』(アリス殺し)やホフマン『くるみ割り人形とねずみの王様』(クララ殺し)などの幻想文学をモチーフにした物語が小林泰三さんのグロテスクな作風と見事に融合している素晴らしいシリーズだ。 世界観とか まずはその特徴的な世界観・ルールの説明をしながら魅力を紹介しよう。 物語には現実世界の他に複数の世界が登場する。『アリス殺し』では「不思議の国」、『クララ殺し』では「ホ

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    x0raki 2016/07/08
    読みたいなぁ-。
  • ジャンルてんこもりの、幻惑小説──『虚構の男』 - 基本読書

    虚構の男 (ドーキー・アーカイヴ) 作者: L.P.デイヴィス,Leslie Purnell Davies,矢口誠出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2016/05/27メディア: 単行この商品を含むブログ (5件) を見るこれはなかなかおもしろい、というか凄いなのだが実に紹介しにくい。解説の若島正さんからして、『ここでは『虚構の男』の筋書きを解説することはあえてしない。それは読者の楽しみを間違いなく奪うからである。』と言い切っているぐらいなので、それなのに僕がこんなところで筋書きをたらたらと紹介するわけにもいかない笑 なので大雑把に概略を述べ、おもしろさを抽象的に並べ立ててしまおうと思う。 原書版の刊行は1965年のことで、日では著者のL・P・デイヴィスはあんまり評価されていない(翻訳もほとんど刊行されていない)。それがなぜいまさら翻訳されたのかといえば、国書刊行会が「知られざ

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    x0raki 2016/06/06
  • 監視国家を刑事が駆ける近未来サスペンス──『ドローンランド』 - 基本読書

    ドローンランド 作者: トムヒレンブラント,Tom Hillenbrand,赤坂桃子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/01/27メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見るいやーこれは面白かった。監視社会物といっても、現代ではその社会情勢も反映してか多数の作品があり(監視社会×刑事物だと代表的なところだとPSYCHO-PASSとかもあるしね)それだけではもはや新味には欠けるところだ。 書は明確に監視社会物としての新機軸を打ち出しているわけではないけれども、ドストレートに今の世界から地続きの、現実感ある描写や設定を積み上げ、事件の根幹に未来技術が組み込まれているという点で紛うことなきSFとしても成立している。サスペンスやミステリのできも非常に良く、後述するがケレン味まであるというなかなかにエンターテイメントとして洗練された作品だ。 著者のトム・ヒレンブラントは

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    x0raki 2016/02/01
  • もうだめだ〜『ロボットの脅威 ―人の仕事がなくなる日』 - 基本読書

    ロボットの脅威 ―人の仕事がなくなる日 作者: マーティン・フォード,松剛史出版社/メーカー: 日経済新聞出版社発売日: 2015/10/22メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る自動化によって人間の仕事がなくなる! という論調は世間でありふれており既に何冊ものが出ている。実際に、幾つもの「システムが人間の仕事を置き換えていく」例は紹介されていくのだがどのような相関があって、具体的にどの職がどのような技術によって何パーセント減るのかとかそういう試算がわからなかったりする。www.cnn.co.jp huyukiitoichi.hatenadiary.jp 書も、主に米国にて生産性の伸びが報酬の伸びを多きく引き離している、国民所得に労働者の報酬が占める割合を示した労働分配率が21世紀に入ってから急降下を続けていることなど各種の仕事が失われ、賃金が上昇しない現象をあげ

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    x0raki 2015/11/19
  • THE GHOST IN MY BRAIN──『脳はすごい -ある人工知能研究者の脳損傷体験記-』 - 基本読書

    脳はすごい -ある人工知能研究者の脳損傷体験記- 作者: クラーク・エリオット,高橋洋出版社/メーカー: 青土社発売日: 2015/09/25メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る書名にあるように、元々IQの高い人工知能研究者であるクラーク・エリオットが交通事故によって脳震盪を起こし脳機能にダメージを受け、「自分が人間だとは信じられない」状態にまで陥ったのち、そこから回復していく過程を辿った一冊である。 書の半分近くは、その脳震盪が起こってからの生活がどのようなもので、彼がそれにどのように対処してきたのかが語られるが、これが「脳震盪つっても、プロスポーツ選手がよくぶつかったりしてなるあれでしょ?」というレベルとは想像もつかないツラさだ。ドアを通り抜ける、階段を降りる、そんな簡単なことが難しくなる。時間感覚がなくなり、自分が人間ではないという奇妙な感覚にとらわれ、マルチタ

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    x0raki 2015/11/07
  • 山田風太郎系能力バトル物の極北──『ダンゲロス1969』 - 基本読書

    ダンゲロス1969 作者: 架神恭介出版社/メーカー: なし発売日: 2015/10/12メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るこれはまたえらい小説が出てしまったものだ。ガンガン人が死ぬ、敵の能力を読み合って、チンコやマンコを武器に戦う異常な能力者たちの物語が読みたいという奇特な人間がいるならば書を是非読むべきだ。下世話で身も蓋もなく、それでいて無茶な理屈がきちんと通っている、そんな能力バトル物として書は極北ともいえるべきぶっちぎり方をして走り抜けていった傑作であるからして。だが人は選ぶ。 書『ダンゲロス1969』は、講談社BOXから出ていた架神恭介さんによる『戦闘破壊学園ダンゲロス』及び第二弾『飛行迷宮学園ダンゲロス』に連なる、多様な能力者が跋扈して戦力を削り合うシリーズ物の一冊。登場人物も時代もほぼ異なるので独立した能力バトル物の長篇として読める。『戦闘破壊学園ダン

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    x0raki 2015/11/07
  • 印刷が変えた人々の日常──『印刷という革命:ルネサンスの本と日常生活』 - 基本読書

    印刷という革命:ルネサンスのと日常生活 作者: アンドルー・ペティグリー,桑木野幸司出版社/メーカー: 白水社発売日: 2015/08/20メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る主に15、16世紀を舞台に人々の生活をいかにして印刷が変えていったのかを丁寧に600ページ近くかけておったのが書『印刷という革命』である。お値段5000円をゆうに超えており趣味で買って読む人はたぶんほとんどいないんじゃないかとも思うが、まあ図書館もあるし。数百年の単位で着々と変化を経て、その時々で人々がどのような判断をして、どのように適応していくのかを知るには最適な一冊だ。 抜的な技術革新というのは起こった瞬間に何もかもが一変するのではなく、だんだんとそれが浸透・拡散していくものだ。技術革新が起こるたびにそれが受け入れられて、新しいやり方を構築するまでに数十、数百年の時間がかかるのは当たり前

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    x0raki 2015/10/28
  • 新訳でミリタリーSFの原点が蘇る──『宇宙の戦士』 by ロバート・A・ハインライン - 基本読書

    宇宙の戦士〔新訳版〕(ハヤカワ文庫SF) (ハヤカワ文庫 SF ハ 1-40) 作者: ロバート・A ハインライン,内田昌之出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/10/22メディア: 文庫この商品を含むブログを見る書が最初のミリタリーSFというわけではないのだが、ごく初期の重要な作品、傑作であることは間違いあるまい。新たに加藤直之イラスト及び解説、安彦良和帯「ガンダムのルーツを新訳で! これは超お薦めです。」、過去版のカバーイラストも折り返しにカラーで収録され、表紙イラストの下にはパワードスーツの三面図がある贅沢なである。ハヤカワ文庫補完計画という早川書房70週年を記念した70冊を復刊、新訳、新版で蘇らせる企画のうちの一冊であるが、明らかに気合が入っている。 ずんぐりとして、どてどてと歩きそうなスーツのデザインはいかにも硬そうで、しかしきちんと関節部の仕組みまで考えられており

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    x0raki 2015/10/28
  • 「無茶苦茶だ!」そのとおり。無茶苦茶である。──『イルカは笑う』 - 基本読書

    イルカは笑う (河出文庫) 作者: 田中啓文出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2015/09/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る田中啓文さんによる12篇収録の短篇集。相互のつながりはなく、発表媒体も作品趣向もばらばらだが大抵の場合バカバカしく無茶苦茶な展開を迎えることぐらいは共通している(一部例外あり)。記事タイトルにつかわせてもらったのは『ガラスの地球を救え!』の中の一幕で、作中人物が「無茶苦茶だ!」と喚いていることに地の文が「そのとおり」と答えてしまうぐらいには無茶苦茶な状況に陥っている。 小説というのは、文字で表現しえる何ものでも表現しえる形式なのであるから、映像でも絵でも表現し得ない無茶苦茶なことをやるぶんには小説の方が有利であるとはいえる。そうはいって突然宇宙艦隊が5億隻突然地球に攻め込んできて──とはなかなか書けないものである。なぜ5億隻なのか、

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    x0raki 2015/10/17
  • 極小の世界に存在する極大な世界──『ブラッド・ミュージック』 - 基本読書

    ブラッド・ミュージック (ハヤカワ文庫SF) 作者: グレッグ・ベア,小川隆出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1987/03/11メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 227回この商品を含むブログ (85件) を見るグレッグ・ベアによる書『ブラッド・ミュージック』はハヤカワ文庫補完計画の一環で新カバー&トールサイズ化して復刊となった作品だがラインナップが発表された時から読みたかったもののひとつ。元々日語版が出たのは1987年、原書刊行が1985年となるが、実に30年の時を経てなお、鮮烈なイメージとインパクトを残す傑作だ。何より1985年にして極小の世界に存在する大いなる可能性を作品内に取り込んでいることが、まったく時代性を感じさせないものとなっているように思う。 SFで、規模を大きくしようと思ったら基は「もっと先へ」「宇宙の果てへ」という発想になるのがまずはデフォルトというも

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    x0raki 2015/09/15
  • 記憶を持たない英雄vs殺人鬼──『記憶破断者』 by 小林泰三 - 基本読書

    記憶破断者 作者: 小林泰三出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2015/08/06メディア: 単行この商品を含むブログを見るホラーにSF、ミステリーにウルトラマン(?)とジャンルを特定せずに書いてみせる小林泰三最新長編『記憶破断者』は、記憶が数十分しか持たない一般的に言えば「不利」な側面を持った男が、しかしその特性ゆえに、特殊な能力を持った悪の殺人鬼に対抗していく死闘を描いた作品だ。この小説、構造と面白さのロジックがシンプルで、かつ導入の引きが素晴らしいのでその冒頭部分までをちゃちゃっと紹介して終わりにしてしまおう。逆にそれ以上紹介すると面白さを削ぐかもしれないし、それだけでも充分に引きつけられるはずだ。 主人公は前向性健忘症の男*1で、先に書いたように数十分しか持たない。記憶が特定の期間(一日だったり、数時間だったり数十分だったり)する事例は現実にいくつも報告されており、フィクション

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    x0raki 2015/08/12
  • アレルギーはなぜ増えているのか──『失われてゆく、我々の内なる細菌』 by マーティン・J・ブレイザー - 基本読書

    失われてゆく、我々の内なる細菌 作者: マーティン・J・ブレイザー,山太郎出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2015/07/02メディア: 単行この商品を含むブログを見るツイッタを眺めていると時々「むかしはアレルギーの人間がいなかったのは……わかるな?」みたいな、「アレルギーの人間は死んだからだよ」的な答えを誘発させようとする内容のツイートが流れてくる(実際、そう理解している人を何人もみた)。でも実際、アレルギーって現代病なんだよね。ピーナッツ・アレルギーは今や50人に1人の割合で存在しているが、1997年から2008年にかけてピーナッツ・アレルギーと診断された子どもの割合は3倍に増加した。 確かにアレルギーや喘息が昔は少なかったというと、今これだけありふれているのだから少し違和感があるのはわかる。それでも、それが現状であり、つまるところそこにはなにか理由があるのではないかと推測

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    x0raki 2015/07/26
  • SFまで10000光年 by 水玉螢之丞 - 基本読書

    SFまで10000光年 作者: 水玉螢之丞出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/07/23メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る絵と手書き文字で彩られたページはいつも独特な雰囲気を漂わせ、当たり前のようにそこにあったのでこの先もずっとあるものだと思い込んでしまっていたが、終わるときは終わってしまう。書『SFまで10000光年』は昨年の12月13日に亡くなられた(解説、大森望さんの言葉を借りれば「最大公約数的には、たぶん、イラストレーターということになるだろう」)水玉螢之丞さんの、同名のSFマガジンでの連載をまとめたコミック・エッセイのような作品である。1993年1月号から一旦の区切りと成る2002年12月号までが納められている。SFマガジンではその後、2003年から『SFまで100000光年』と名前を変えて、亡くなる直前まで連載を続けていた。cakes.mu

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    x0raki 2015/07/26
  • 知能の高いヤツがバカなことをする理由──『知能のパラドックス』 by サトシ・カナザワ - 基本読書

    知能のパラドックス 作者: サトシ・カナザワ,金井啓太出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2015/07/24メディア: 単行この商品を含むブログを見る「知能のパラドックス」と書名にもなっているとおり(原題はthe intelligence paradox)、知能が高いことが=賢い、素晴らしいことにはならない、知能が高いからこそバカなことをするヤツラが出てくる理屈を提示する一冊で、そのパラドックスはこれから説明していくとわかると思うが、かなり面白い。 知能のパラドックス仮説を正しいとするならば、背の高い人や社交的な人が、そうでない人より価値が高いとか優れていることとは別であるように、知能が高いことも低いこともそうした良いこともあれば悪いこともある単なるステータスの一つとして受け入れられるようになるだろう。ただ、その仮説を補強するように集められているデータとそこからひねり出された理屈

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    x0raki 2015/07/25
  • いま・ここにある/いるゾンビ『ゾンビの科学』 by フランク・スウェイン - 基本読書

    ゾンビの科学:よみがえりとマインドコントロールの探究 作者: フランク・スウェイン,西田美緒子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2015/07/17メディア: 単行この商品を含むブログを見るゾンビとは一番シンプルな解釈でいえば物体となって動き回る死のメタファーだ。見えない概念としての死が物質的な形をまとって周囲を徘徊し、噛み付きだか唾液だかは知らないがとにかく何らかの方法で死を感染させてゆく(事が多い)。ゾンビと対峙するとき、我々は死そのものと対峙しているのだともいえるし、だからこそ死を逃れられぬ我々はいつだって、人生の一部として映画館にゾンビの姿を追い求める。 そうはいってもゾンビはフィクショナルな存在であって現実の存在ではない……はずだ。それならばゾンビの科学とは一体──と思うところだが、書は「ゾンビをいかにしてつくるのか」を通して人間の人間性であったり、生と死の境目はど

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    x0raki 2015/07/19
  • イスラーム国の衝撃 (文春新書) by 池内恵 - 基本読書

    イスラム国関連の書籍をざっと4,5冊読んだが1冊選ぶとしたらこれだな。次点としてロレッタ・ナポリオーニの『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』はイスラム国のメディア戦略とテクノロジー、あとは世界政治の中での立位置にページを割いていてまとまっているのが良かった。それに対して書『イスラーム国の衝撃』はイスラム国(伸ばし棒うつのが面倒臭いから書名以外では省略する)イスラム国そのものの成り立ち、疑問点に思想と政治両面からフォーカスした内容でその分ぎゅっと詰まっていてわかりやすい。 今や日人の脳内にもくっきりとその特異性が刻みつけられているイスラム国だが、ニュースをみているだけだと時間や文字数上の制約からどうしても「今まさに起こっている事象そのもの」に対してのあーだこーだに終始することになる。成り立ちから今後まで見通していく為には新書程度でもまとまった分量で読むのがいいだろうと思う。何しろ歴

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    x0raki 2015/01/24
  • つぼねのカトリーヌ The cream of the notes 3 (講談社文庫) by 森博嗣 - 基本読書

    今までさんざん森博嗣さんのエッセイシリーズにはいろいろ書いてきているので今更何か書くことがあるのかと言われれば別にないのだが。⇒つぶやきのクリーム the cream of the notes - 基読書 つぼやきのテリーヌ The cream of the notes 2 (講談社文庫) by 森博嗣 - 基読書 それでもやはり毎度毎度違うことが書いてあるし、従って読めば普段刺激されないようなところが刺激されるし、何よりこれを書いている僕の側が定期的に出版されるこのエッセイシリーズを読む度に変化しているので、その変化を定点観測する為にも書いておきたいと思う。健康診断のようなものだろう。 このシリーズを一度も読んだことがない人向けに解説を入れておくと、英題に3と入っている物の別に話題が連続しているわけでもないのでここから読み始めても何の問題もない。多少時事ネタのようなものがあったりする

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    x0raki 2014/12/14
  • はやぶさ2の真実 どうなる日本の宇宙探査 (講談社現代新書) by 松浦晋也 - 基本読書

    現在時点で打ち上がっている可能性もあったはやぶさ2だが、現状延期中で次の予定は12月3日になっている。一応予備日として12月1〜9日までおさえ、計算しているはずなのでそのどこかでは打ち上がってくれると信じたいところだ。小惑星も天体も常に動き続けており、一年ごとに再接近してくれるような都合のいい軌道はとっていないのではやぶさ2の場合、2014年の打ち上げを逃すと今回並に条件のいい打ち上げ機会は2020年以降になってしまう。ちょっとしたズレが何年もの計画遅延を引き起こすのは宇宙探査系では当たり前のことだけれども、予算獲得やその計画に時間がかかることからの意志の共有など政治面での折り合いが悪い。 書『はやぶさ2の真実 どうなる日の宇宙探査』は「真実」とかついているので何か隠されていた謎が暴かれる的な話ではなくはやぶさ2ってなんぞやという初心者向けガイドブックになっている。初代はやぶさの功績と

    はやぶさ2の真実 どうなる日本の宇宙探査 (講談社現代新書) by 松浦晋也 - 基本読書
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    x0raki 2014/12/02