サンデル教授の熱血講義でも扱われていたトロリー問題(またはトロッコ問題)は、倫理学の思考実験だ。私なりに少しアレンジすれば―5人が乗っているトロッコが暴走している。その先は崖だ。目の前には引き込み線があり、そこにトロッコを誘導すれば5人は助かる。しかし、引き込み線の先には3人がおり、この人たちは犠牲になるだろう。さてあなたはどうするか。さらに、あなたの隣にはとてつもなく太った男がいて線路に横たわればトロッコは止められるが、彼は横たわることを拒否する。それでも彼を突き飛ばしてトロッコを止めさせるか。 この問題にまつわるさまざまな説を紹介したのが本書だが、同じようなことは現実にも起こる可能性がある。例えば、戦争を終結させ無数の命を救うために原爆を落とし数万人を殺したというアメリカの理屈は正しいか、あるいは、大都市に時限爆弾を仕掛けたテロリストが逮捕されても爆弾の位置を知らせないなら拷問をしても
![kolyaさんの書評 太った男を殺しますか? (atプラス叢書11)【本が好き!】](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/94662cecbd5cd1093c3b6ba17feced4ea8a50651/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimages-fe.ssl-images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F41oWe1wz8wL.jpg)