鹿を飼う夢を見た。 帰宅途中に気配を感じ、後ろを見ると鹿がついて来ていた。そのまま振り切ることができず家で飼うことになった。 鹿を飼う方法がわからなかったので、インターネットで検索した。食べ物と世話の方法くらいわかるかなと思った。 だが鹿を飼育するには、それ専用の資格を取ることが必要だった。また、エサとなる植物が生えている公園に立ち入り、鹿にそれを食べさせるための許可証も必要だった。 鹿に他のものを食べさせることは禁止されていた。鹿の飼育は想像以上の難関だった。 世の中で鹿を飼おうとする人はまずじっくり勉強して、この資格を取得してから鹿を飼う。そういう順序だった。俺のように、鹿が先に来る例は稀らしい。時間がなかった。インターネットから過去問をダウンロードして勉強を始めた。勉強しないと免許が取れない。しかし勉強している間にも鹿はごはんが食べられず、つぶらな瞳で困っている。俺は手詰まりだった。