IT人材の不足、調達プロセスの未成熟といった事態に直面しながらも、現場の工夫で成果を挙げたプロジェクトがある。こうした成功の要因を検証すると、政府システム調達改革への糸口が見えてくる。ポイントは、省庁の「壁」を越えて臨むところにある。 各省庁が共通して使う人事・給与システムは、一時は失敗寸前まで追い込まれながら、立て直したプロジェクトだ。2010年10月に人事院でシステムを先行導入したのを皮切りに、衆議院、宮内庁、国会図書館が導入。この6月には、総務省が移行した(図1)。 人事・給与システムの刷新プロジェクトは、各省庁で共通するシステムを集約する「府省共通システム」のモデルケースになるはずだった。だが2006年、完成したシステムをレビューした省庁から「これでは使い物にならない」との批判が殺到、プロジェクトは仕切り直しとなった。 失敗の原因は前パートで触れたように、システム共通化という理想に