1917年はいろいろな意味で第一次世界大戦の航空戦の転換点となった年です。戦争初期から行われていたイギリス本土に対する爆撃作戦にとっても新しい局面が訪れています。ドイツ陸軍において戦前から続いた飛行船重視政策で整えられた軍用飛行船は西部戦線では脆弱さとコストの高さから第一線を退いたものの、軍用飛行船を安価な高速偵察巡洋艦と捉えていたドイツ海軍がこれを重用し、偵察以外にも使用するようになります。偵察任務以外の主要な作戦とはイギリス本土爆撃作戦でした。しかし1隻または少数で実施される飛行船による夜間空襲には主に心理的効果を期待する以外になく、その影響は必ずしも無視できないものがありましたが、当時のドイツ海軍をとりまく事情は別にして客観的に見ればとてもそのコストに見合う作戦とは言えません。 そんな中で1917年初頭にドイツ陸軍は爆弾500キロを搭載して長距離爆撃を実施できる重爆撃機ゴータGIVを