レルネット主幹 三宅善信 ▼食糧安保という考え方 近作の『BSE・鳥インフルエンザ・鯉ヘルペスの奇妙な関係』や『風邪見鶏:インフルエンザと鳥の深い関係』でBSEや鳥インフルエンザの問題を取り上げ、食糧の国際的な流通について解説し、また「日本の食糧自給率を上げなければならない」理由を論拠付けたが、世界の食糧貿易の問題は、実は過去半世紀にわたってアメリカが採ってきた「食糧安全保障」という政策と大きくリンクしているのである。そこで、今回は、「食糧安保」という観点から「捕鯨禁止」問題の背後にあるものを考えてみたいと思う。 米ソの冷戦がアメリカ側の勝利によって終結したのは、相互の核抑止力による軍事的安全保障のアンバランスによってではなく、アメリカの食糧安保政策に、ソ連がまんまと絡めとられたからであるとも言える。社会主義時代のソ連は、確かに商品流通経済は振るわなかったが、それでも、世界一広大な国土から