【試し読み】北村紗衣「まえがき 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門」から抜粋(『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』より) 楽しむ方法を見つける 私は一年に百本くらい映画を映画館で見て、かつ百本くらい舞台も劇場で見ます。その全部について簡単な批評を書いて自分のブログにアップしています。また、一年に二六〇冊くらい本を読みます。 おかしいですよね。いくらなんでも多すぎます。大学教員なので、昼は授業をしています。でも、私の仕事は単に出勤して授業時間に話すだけではありません。きちんと研究して、その成果を授業で学生に還元しなければなりません。そのために映画や舞台を見たり、本を読んだりするので、まあこういうのは仕事の一部としてやっています。 でも、これだけたくさん見たり読んだりするのは、仕事だからというだけでは無理です。楽しくないと続けられません。私が年間百本ずつ映画と舞台を見る生活を続けられるの