ここ数カ月、小誌WEB版で圧倒的多数の“いいね”を記録したのは餃子に関する記事だ。過熱する餃子人気のなか、美食家の来栖けいさんに、旨い餃子の真相について訊いた。 写真: CHENCHE KAI @ SEPT、金田邦男 文: 大石智子 まず初めに、実は来栖けいさんは、最近あまり外食をしないらしい。食への強い欲求は変わらずあるのに、だ。というのも、今の世の中“やり過ぎ”な店が多いからだそう。アーティストとなった料理人たちは今までにない組み合わせばかりを目指し、過剰なひと皿をつくる。なんでも手に入る世の中になり、本質からズレ始めていると。そんな世界とは逆に、餃子屋は変わらず“職人”だと語る。 「いま、意味のないつけ合わせや理由のないコンビネーションの料理があまりにも多い。それだったら餃子のほうがよっぽど好きです。何を食べさせたいのかをひと言で言えないものとは対極に、餃子屋が食べさせたいものは明確