米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、滝野欣弥(きんや)官房副長官が移設候補地の鹿児島県・徳之島の3町長にかけた電話は、鳩山由紀夫首相の事前の了解を得ていなかった。指示をしたのは平野博文官房長官。政権の命運をかける課題の成否を握る地元の説得なのに、首相周辺の意思統一さえできていない。政権の迷走ぶりは末期的だ。 「心を一つにして頑張ろうと誓い合っている」 21日の党首討論で、鳩山首相は、普天間問題に関係閣僚が一枚岩で取り組んでいると強調した。 しかし内実は違う。20日夜、事務担当の滝野官房副長官が徳之島の3町長に対し、平野氏との会談を電話で申し入れた件について記者団に問われた際、首相は「どのような思いで滝野副長官が電話したか分からない。副長官に聞いてほしい」と素っ気なかった。「沖縄県外への普天間移設」にこだわる首相だが、この日の徳之島への打診について事前に知らされていなかった