1月刊行のちくま学芸文庫『数学基礎論』(前原昭二・竹内外史著)より、田中一之氏による解説を公開いたします。「不完全性と決定不能性」、「自然数論の無矛盾性証明」など本書で紹介されているいくつかのトピックについて、そして「数学基礎論」とは何かについて、本書を読むためのアドバイスを交えつつ解説します。 本書は,1990年以来数年間繰り返しラジオ放送された放送大学の同名講義の教科書を,文庫サイズに組み直したものである.講師は,日本を代表する数学基礎論の研究者である故・前原昭二先生と竹内外史先生で,全15回(1回45分)のうち前半10回は前原先生が数学基礎論の「生い立ち」について講じられ,後半5回は竹内先生が比較的新しい研究の話を紹介された. まえがきによると,「特別な予備知識を仮定せずに(中略)一般読者のための入門書としても役立ち得るもの」になっているので,今回ちくま学芸文庫に収録されることにより