このマンガ好きだったらこの小説読んでみなよー。この小説が面白いんなら、このマンガ、絶対おすすめ。そんなふうにおもしろい本の世界を倍々でひろげていきます。最終回は、絶望の果てに何を見る? なマンガと小説を! 「絶望は死に至る病である」(『死に至る病』)といったのはデンマークの哲学者、セーレン・キルケゴールです。 肉体の死は究極的な死にあらず、終わりのない、精神の死こそが絶対的な死であり、絶望はそこに至る道であるということであります。 前回とりあげた『最強伝説黒沢』の黒沢、『告白』の熊太郎も、絶望に身をよじり、とんでもないことをしでかしました。絶望はたしかに、肉体の死よりもつらい、苦悶への道程なのかもしれません。 人は他者を、理想の自分を、そして自分を取り巻く世界を意識せずにはいられません。自分にないものをそこに見て、もしくは自分を受け入れない世界を呪って、絶望します。絶望とは、人間存在
週の頭の月曜日は、真の「萌え発想術」をマスターするための指南塾。自分の萌えをバージョンアップせよ。そして、萌えで世界をチューニングしちゃうのだ! 前回に引き続き「『鋼の錬金術師』から読みとる『萌えさせる3箇条』」の3条目である。 でね、第25回で、「『鋼の錬金術師』の兄弟関係に萌える」って予告したんだけど、そして、予告したときは、なんとなく考えがまとまってるような気がしたんだけどさ、考えれば考えるほど、 深ぁーーーいどこかに入っていくような何か、でっかいテーマだなぁと思って前回はパスしたんだが、やはり、さけるわけにはいくまい。 なんてったって、「鋼の錬金術師」での最大の萌えポイントは、兄弟の関係だろう。 幼いとき、母を失い、錬金術により蘇らせようと試みる。が、失敗してしまう。 兄のエドワードは、左足を失う。 弟のアルフォンスは、身体をすべて失ってしまう。 兄エドワードは、自分の
週の頭の月曜日は、真の「萌え発想術」をマスターするための指南塾。自分の萌えをバージョンアップせよ。そして、萌えで世界をチューニングしちゃうのだ! 相手に萌えてもらうためには、「好いて好いてー」「俺の良いところはこんなところだ」「わたしってセクシーでしょー」「愛してる」「やりてぇ」などとストレートに言うだけではダメなのだ。 ストレートに表現すると、モテるかもしれないけど、萌えの対象にはならない。 なぜなら、萌えとは「何かに対して、不十分な情報を補って、好きになるという美意識」であるからだ。 不十分な情報! ここ、ポイントです。 不十分になっちゃったわけじゃなくて、意識的に不十分な情報であることが大切なのです。 人生は、物語は、論文ではない。論文であるなら、十分に情報を提示して、論理的に組み立てる必要があるだろう。 だが、人生や物語は、それだけでは伝えられないものを伝える必要があ
このマンガ好きだったらこの小説読んでみなよー。この小説が面白いんなら、このマンガ、絶対おすすめ。そんなふうにおもしろい本の世界を倍々でひろげていきます。第26回は、菌と人類の未来を考えるマンガと小説を! 「シュール・ストレミング」をご存知でしょうか。「世界一臭い食品」、「地獄の缶詰め」と呼ばれるスウェーデン産のニシンの缶詰で、気圧変化による破裂が大惨事を招くため航空輸送は禁止され、家の中ではけっして開けてはならないといわれています。 二次発酵により生まれた炭酸ガスでパンパンに膨れ上がった缶に、缶切りの刃を突き刺したとたん、腐臭を放つ汁が噴出するらしく、本当に一種の爆弾なのでしょう。 食べるの御免だけど見るくらいなら、という方は「シュール・ストレミング 試食会」などでグーグル検索してみましょう。どれもこれも地獄絵図であります。インターネットが臭いを配信できなくてよかったよかった。 デン
最初のエピソードが盛り上がっているところで、しかも、自然な流れで(上の台詞は死んだ恋人を生き返らせようとしている少女に対して発せられる)、である。 目的の明示は、大切だ。 「主要人物に感情移入」することが、大きな「読むこと」の楽しみである。そのためにも、「主要人物が、どうして、そのような行動をとっているのか」を、読み手に伝える必要がある。 だから、「読み手が共感する目的」が明示されると、その目的のための行動はスムーズに理解できるし、行動している人物に対して共感もできる。 別の例をあげよう。今、ぼくがディレクションしている「キングオブワンズ」は、1対1で対戦をするネットワークゲームだ。「ルールが簡単な詰め将棋」を2人で対戦するような感覚のゲームで、対戦での目的は、「相手に勝つこと」である。 が、もっと大きな目的を設定している。それは、この対戦は「魔法専門学校」の授業として行われていて
ニートという言葉にはマイナスの意味しかないのか? いやおおむねマイナスだとしても、何かしら良い面があるのではないか? ニートのエリート、いいニート、そんな道もどこかにあるんじゃなかろうか。などというしょうもないことを模索する連載。今回は話題の新刊を肴に完全休養のススメ。 『電波大戦』話題の本である。もともと非モテコンプレックスを創作の源にしていたクリエーターが、有名になることによりモテてしまい、創作活動に支障をきたしてしまう事態をどのように避けるべきか。そんな深刻なのやら浮世離れしているのやら、よくわからないテーマを著者本田透とオタク界の著名人達が語りあうという内容だ。 だが話はどんどん脱線し、読みどころが多く一筋縄ではいかない。あなたがニートだったら滝本竜彦の下の発言をまずチェック!
王子様幻想を捨て、夢や幸福は自分で勝ち取るものだ!と気づいた80年代の少女たち。しかし当時、普通の女の子が自分の力をためす場所はほとんどありませんでした。そんな厳しい現実に直面した「その後の姫子たち」を描いた連作短編集が柴門ふみ『女ともだち』です。 「女ともだち」のシリーズを開始したのは一九八三年、今から八年以上前のことです。当時の女性をとり囲む状況は今よりずっと悪かったように思います。職業選択の幅の狭く、(男女雇用均等法も実施されていなかった)社会に参加しようにも多くの困難を抱えていました。 (中略) 昭和史の記録(?)としては、80年代当時の女のジタバタぶりもおもしろいけれども、後に残せる価値があるのは、恋しい人への届かぬ思いであり、すれ違いのため実らなかった恋といった、いつの時代でも誰の身にも起こり得るドラマだけという気がします。 という単行本のあとがきにもあるように、雇均法施
非モテ人間は現代の被差別階級なのか? 異性を発情させるのがそんなに偉いのか? 文学を手がかりに、いっそ、非モテライフをエンジョイする方法を探っていこう! 今回のテキストは、“恋愛教の教祖”が青春時代に描いた非モテ女子高生の赤裸々告白! トレンディドラマ『東京ラブストーリー』の原作者にして数々の恋愛論をものしている“恋愛教の教祖”柴門ふみ。しばしば恋愛至上主義の元凶として目の敵にされることもある彼女ですが、80年代初頭に発表された『愛して 姫子さん』を読めばそうした評価は一変するかもしれません。彼女は非モテ女子の鬱屈を青年誌に叩きつけた、言ってみれば非モテ女子界のチャレンジャーだったのです。 主人公のブスでひねくれている女子高生の姫子。彼女はイケメンのスポーツマンと美女とのカップリングをくやしがるクラスメートたちに、学校における階級制度を説きます。「あたしたち高校生にとっては一クラス=一国
このマンガ好きだったらこの小説読んでみなよー。この小説が面白いんなら、このマンガ、絶対おすすめ。そんなふうにおもしろい本の世界を倍々でひろげていきます。おお、二桁ですよ! な第10回は、キュートでたまらん死神さんマンガと小説を! 「死神」。 三日月形の大鎌を手にし、黒いマントを羽織ったりする骸骨の姿が思い起こされます。不吉です。 骸骨に象徴される死神像の起源は、中世ヨーロッパまで遡ります。14世紀半ばに猛威を振るった黒死病(ペスト)により、ヨーロッパ全土で3500万人の死者が出たといわれています。死の恐怖から逃れるため、人々は半狂乱になり、倒れるまで踊り続けました。これを「死の舞踏」(ダンス・マカブル)といいます。 のちの芸術家たちが「死の舞踏」を絵画にした際、誰かれなく訪れる死の擬人化として、踊る骸骨などが描かれました。これが現在の死神像のもとになったわけです。16世紀のフランドル
これからの社会を豊かに生きる鍵は「萌え」だ! 「萌え」を会得し、真の「萌え発想術」をマスターするための指南術、連載スタート!! 萌えのはじまりは、芽ぐむことであり、のちにあらゆるキャラクタへの好意を表す言葉になった。そして、21世紀になって、日本の美意識をあらわす言葉の一つとして、「わび」「さび」の領域に入った※1。 浜銀総合研究所(横浜市)の調査※2によると、「萌え」市場規模が、03年で888億円※3。新聞等メディアでこのことが報道されると、「萌え」関連銘柄が急動、ストップ高が続出した。 株式新聞1面に大きく「萌え燃える」の文字が躍ったのである。 滑稽なマネーゲームだろうか。萌えバブルか。 だが、ともかく、これは、社会が萌えを無視できぬようになってきたことを示す一例であろう。 萌えを会得し、萌え発想をすることは、これからの社会を豊かに生き残る大きな鍵なのである。 ※1:具体的
本田透 (ほんだ・とおる) 1969年 神戸生まれ。早稲田大学卒。オタク系サイト「しろはた」運営。2004年に「キモメン王国」の建設を宣言し、モテない男たちの歓声を浴びる。DVDレコーダーとかPCのテクニカルライター、AV機器評論、アニメ・ゲーム系の仕事、萌え系ライトノベル書き、ギャルゲーのシナリオ書きなど多彩な活動。そして、書き下ろしオタク本『電波男』を発表! オタク界、キモメン界で、話題騒然となる。他にムック『魁!録画塾』『妹ゲーム大全』『鬼畜ゲーム大全』など。今後の予定は、「ゲーム大全」シリーズの第四弾、萌えエロライトノベルアンソロジー本「妹☆コレクション」の続編、など。今夏、二見書房より書き下ろしの萌えエロライトノベル刊行予定。ちなみに、『フルーツバスケット』の主人公と同じ名前だが、それ以前より使用している。 「しろはた」 『電波男』本田透/三才ブックス “いきなりで恐縮だが
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