英国のブレア元首相は、政権獲得前の党大会の演説で、こう言って喝采を浴びた。「政府の最優先課題を三つ挙げろと尋ねてほしい。教育、教育、教育だ」▼その政権を財務相として支えたブラウン氏は首相ほど華も人気もなかったが、雄弁家のブレア氏をうならせる名言を吐いている。「子どもは人口の20%だが、未来の100%だ」▼一九八〇年代、サッチャー政権の構造改革で英国病を脱した英国はしかし、新たな病を得た。格差が広がり、貧困に苦しむ子どもが急増した。七〇年代半ばに5%だった児童の貧困率は、九〇年代半ばには14%にも達した。そこで登場したブレア政権の取り組みで、二〇〇五年には10%にまで抑えた▼では、日本の子どもの貧困率はいかほどか。経済協力開発機構(OECD)によれば、八五年に11%だったのが、〇九年には15・7%にもなった▼であるのに、子育て支援などに費やされる公的な支出は、国内総生産(GDP)の1%。英国