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ブックマーク / kamiyakenkyujo.hatenablog.com (7)

  • 坂本貴志『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』 - 紙屋研究所

    貴志『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日社会を救う』(講談社新書)はなかなか刺激的なである。政治的に見れば日の高齢者政策の根的な問題点を指摘したくなることもあるが、そうした「大きな視点」をひとまず脇において、読んでみる。 ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日社会を救う (講談社現代新書) 作者:坂貴志 講談社 Amazon サブタイトルで大体言いたいことの質を言っているとは思うが、坂によれば、政府統計では、リタイア年齢である65歳から69歳までの世帯(2人以上)定年後の月収は年金を中心に25万円。他方で支出額は32.1万円。7〜8万円の収支差がある。 逆に言えば、月10万円稼げる仕事があれば、貯金の有無にかかわらず、「余裕のある」生活ができるということになる。 十分な年金を保障せず、年老いても働かせる社会が「地獄絵図」という批判は承知しているし、ぼくもそう思うところは

    坂本貴志『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』 - 紙屋研究所
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    yabu_kyu 2023/06/02
  • いしいひさいち『ROCA』 - 紙屋研究所

    ネットで話題になっている、いしいひさいち『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』を読む。朝日新聞を購読していたときにごく一部を読んだ記憶がある。 高校生だった吉川ロカがポルトガルの国民歌謡「ファド」の歌い手として、世界に発見されていくまでを、いしい特有のギャグ4コマに載せながら描き出す。 ある隠れた才能が見出される、というストーリーは好物なので基調として作を楽しめた(というか最近その種のマンガばかり読んでいるような気がする)。 (以下ネタバレあり) ラストについて。 スターダムへと駆け上がるロカに、同級生かつ不良で、しかしロカのよき相談相手となってきた柴島美乃は突然“絶縁状”を突きつける。自分のような「ヤバイ筋」のものが近くにいては問題になるからもう連絡するな、というのである。 ロカは、柴島の「配慮」にどう判断したかははっきりとは描かれないが、おそらく受け入れたであろうと思われる描写が続

    いしいひさいち『ROCA』 - 紙屋研究所
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    yabu_kyu 2022/08/26
  • 太田垣章子『家賃滞納という貧困』 - 紙屋研究所

    司法書士として家賃滞納の処理にあたってきた筆者が、18のケースを紹介している。 家賃滞納という貧困 (ポプラ新書) 作者: 太田垣章子 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2019/02/08 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 230ページのなのに200ページまで事例紹介がい込んでくるのは、いくらなんでも多すぎないか……? とは思ったけど、個別事例の中にわかりやすく普遍性を見出そうという手法なのだろう。滞納の中にあるドラマのようなものを読み取ってしまった。 忘れられないのは、大阪の生野区にある部屋の家賃を滞納し続けた20歳の男性のケースです。人とまったく連絡が取れなくなったため、四国に住む親御さんに連絡すると、「2、3年連絡を取り合っていないが、便りがないのは良い知らせ」だと言い切り、まったく関わろうとしないのです。 しかしその若者は、部屋の中で餓死していました。 慣

    太田垣章子『家賃滞納という貧困』 - 紙屋研究所
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    yabu_kyu 2019/03/17
  • 山本直樹『レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ』 - 紙屋研究所

    連合赤軍事件をモデルにした実録『レッド』は、第二部も大詰めである。 山直樹『レッド』1巻 - 紙屋研究所 最初の書評でも書いたが、『レッド』は実録に徹している。どんな小さなセリフやしぐさも手記や記録に根拠を求めている。 追い詰められた集団が狂気の暴走を続け、密室的な内部で凄惨な暴力をふるう「興奮」は、もともと山が『ビリーバーズ』で虚構として描こうとして果たせなかったものだ。 虚構を脱して愚直なまでにドキュメンタリーの手法に徹したのが『レッド』である。 山の創作史的には、(ぼくに言わせてもらえば)『ビリーバーズ』の破産の上に、築かれたのが『レッド』なのだ。 山直樹『ビリーバーズ』 - 紙屋研究所 さっき(2017年3月16日)ぼくがNHK「浦沢直樹の漫勉」で山直樹の特集を見たとき、『レッド』を軸に作画の解説がされていたのだが、山のタッチを“どこか突き放したようなタッチ”だという趣

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    yabu_kyu 2017/06/01
  • おかざき真里・雨宮まみ『ずっと独身でいるつもり?』・白河桃子『格付けしあう女たち』 - 紙屋研究所

    白河桃子『格付けしあう女たち』は、女性たちがそれぞれに分断された社会の中でさらにカースト化し、分断し合う様をルポしている。そして、「なぜ女同士はつながれないか」という問いを立てている。 一見すると白河のルポは、分断を憂え、なんとかつながろうと努力しているように見える。 「鍵は多様性と未来思考」などの文言が踊る。 だが、ぼくは違和感を覚える。 白河は「多様性」を訴えながら、根底には専業主婦という生き方への批判が見え隠れするからである。 これからは専業主婦という選択はどんどん滅んでいくはずです。その選択を否定するわけではなく、もう無理なのですね。結婚を夫の単一インカムで維持していくのは。(白河p.70) すでに現在ですら、専業主婦は「裕福」と「貧乏」に二極化しています。そして今一番裕福なのは専業主婦世帯ではなく「共働き世帯」です。……専業主婦を否定するつもりはないのですが、今後、豊かで満足な子

    おかざき真里・雨宮まみ『ずっと独身でいるつもり?』・白河桃子『格付けしあう女たち』 - 紙屋研究所
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    yabu_kyu 2016/09/19
  • 待機者にもなれません - 紙屋研究所

    ぼくの娘はなぜ「待機児童」になれなかったか きょう(2013年4月3日付)の朝日新聞に「待機児童 数え方変だよね」という記事があった。 朝日新聞デジタル:(くらし時々?)待機児童、数え方変だよね 育休延長も認可外利用も含まず - ニュース 保育園の待機児童というのは、保育園に入れない子どものことだろう、という人がいると思うが、そんなに単純な話ではないのだ。いや、単純にしてほしいんだけどさ。 たとえば、ぼくは子どもが生まれて3カ月たって、近くの認可保育園(カンタンにいうと国の基準に合ったと認められた保育園)に入れないか探したのだが、どこにも空きがなかった。それで育児休暇を8カ月もとるハメになったのだが、そのときぼくの娘は「待機児童」だったのか。え? 待機児童だったに決まってるって? ブッブー。答は「待機児童ではなかった」。 なぜなら、「空いたら入れてほしい」というふうに申し込んでいなかったか

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    yabu_kyu 2013/05/16
  • 丸山政男『ソヴェートの市民生活』 - 紙屋研究所

    ジュンク堂に行ったら「アテネ文庫」の復刻をやっていた。 http://www.junkudo.co.jp/atene.htm 同文庫は、1948年から64ページだてで発行されていたもので、10年ほど続いた。 いろいろ面白そうながあったけど、丸山政男(真男ではない)という元陸軍大将中将の『ソヴェートの市民生活』を買って即日読んだ。 http://www.koubundou.co.jp/books/pages/00108.html 終戦直後のスターリン体制下のソ連国民の生活が賃金、労働、家庭生活などに分けて書かれている。この種の知識は別段こうした復刻で読まなくても、まあなんでもいいけど手元にある村瀬興雄『世界の歴史15』(中公文庫)みたいなものを読んでもだいたいのところは得られる。それもきわめて批判的に。あるいは、労働という面に関してだけいえば、トロツキーの『裏切られた革命』のなかの「労働生

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    yabu_kyu 2010/11/17
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