答えは、「はい、そうです」。アメリカには、著作隣接権制度に基づく実演家保護の発想は、そもそも存在しないのです。その著作権法において実演家の権利に関する規定もほとんど見当たりません。とくに映画の著作物に関しては、「work made for hire」法理に基づいて一般的に「職務上の著作物」とされるため、この場合に映画製作者が著作者と見なされ、映画製作に参加する当事者間の書面による取り決めがない限り、すべての権利は映画製作者に帰属されてしまいます。 じゃ、アメリカでは、実演家およびその実演はまったく何の保護も受けられないのでしょうか。いや、そうではありません。著作権法による保護というよりも、歴史的にアメリカの実演家は、労働法に基づき強力な職業別労働組合を結成し、映画製作者側との団体協約または個人契約などを通して自分たちのさまざまな権益を獲得してきました。その典型的な例は、映画やテレビ俳優たち