細い路地の向こうには日が当たっていて、やわらかい光の中に黒と、ぶちの2匹の猫が、体をくっつけて昼寝をしている。私は自転車で先を急いでいたのだけれど、視線の先のあまりにも完成された景色に遠慮して、どのような理由があってもそれを壊してはいけないような気がするから、遠回りして別の道を走った。 あたたかい日の午後。数匹の野良猫が路地の真ん中で堂々と寝そべっている時間帯を私は知っている。その時はこうやって遠回りするんだ。でも、通らなかったという事によってなおさら、私の中には避けた小道の情景がありありと浮かぶ。日が当たっている。身を寄せて猫が寝ている。近所のおじさんもおばさんも、猫を避けて歩いている。 久しぶりに銭湯に行った。 今はどこにでもタブレットやスマホを持ち込む生活習慣になっていて、風呂やトイレでも何かを読んだり何かを書いたりしている。布団に入る時でさえもスマホを手放さずに、暗い部屋で電子書籍