2016年5月から6月にかけてタケノコ採りに出かけた一行がクマに襲われた「十和利山クマ襲撃事件」。4人が死亡し、4人が重軽傷を負うなど、本州で発生した事件としては記録上最悪といっても過言ではない大きな被害をもたらした。なぜクマはこのような凶行に及んでしまったのか。さまざまな要因が重なるものの、なかでも大きな原因として考えられているのは“空腹からくる強い食害意欲”によるものだ。 しかし、熊が満腹状態である場合も、決して安全だと言い切ることはできない。空腹でなかったにもかかわらず、人を襲い、喰らった事件が記録に残されているのだ。その事件こそ「戸沢村3人殺人事件」である。ここでは、日本ツキノワグマ研究所理事長を務める米田一彦氏による著書『熊が人を襲うとき』を引用。日本で起きたクマによるおぞましい食害事件を紹介する。(全2回の1回目/後編を読む) ◇◇◇ 88年山形県戸沢村3人殺人事件 十和利山ク