新疆ウイグル自治区。中国の中で最も西北に位置する行政区画で、少数民族のウイグル族が多数を占めるエリアだ。そして何よりこの中国の地方行政区は、人類史上あってはならないジェノサイド・民族浄化が今まさに行われているだろう場所としても知られている。5月も終わりが見えてきた頃、私はその新疆ウイグル自治区にいた。 砂漠の星を駆ける9時半を過ぎてやっと日が落ち始めるウルムチ駅。 ウルムチ駅午後10時。カシュガルに向かう寝台列車「喀什号」は夜の夕焼けの中、プラットフォームを静かに滑り出た。 ウルムチ─カシュガル間は観光需要も多いことから、一部の夜行寝台は若干観光向けに設備が良くなっている。今乗っている喀什号がまさにそれで、車内の至る所に路線周辺の観光案内雑誌があれば、各コンパートメントには地名などを冠したプレートが付いている。尤も、この様に観光化されていても、もともとしっかりと整備された観光列車ではなく、
![新疆ウイグル自治区──祈りなき紅いオアシス②|DAVID-OFF/大熊杜夫](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/0ed5405295fe10daf3dcf7d28d52ac75803b6aac/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F107956908%2Frectangle_large_type_2_8541d1123d6c2d40749cfd4d42c0e11d.jpg%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)