これまでの長い交渉が終わり、中国側、日本側の関係者全員出席による宴会が開かれた。「乾杯、乾杯」の嵐でどんどんアルコールの瓶が空いていく。大きな商談がまとまったときは、酒の格もどんどん上がっていく。今回は「40年モノ」のマオタイが登場。日本人にはピントこないかも知れないが、40年前といえば中国は文化大革命の真っ只中である。その激動の時代を生き抜いてきた酒は、そこらの酒とはぜんぜん違うのだ。瓶には大きな星のマーク。まさにこの酒が人民解放軍によって厳重に保管されてきたことを表す。 こうして、ベロンベロンに酔ってしまう経営幹部の脇には、酒をひかえている日中双方の実務者がいる。彼らには、まだ大きな仕事が残っているのだ。それは、後日作成される契約書の基礎となる、今日の議事録をまとめることだ。議事録は中国側の通訳が中心になって記述することになっているので、日本側はそれをきちっとチェックしなければならない
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