戦没者のすべてが靖国に合祀されてるわけではないとか、靖国に合祀されているのは戦没者だけではない……といったことは繰り返し指摘されてきたが、ここではかつて自民党が成立を目論んだ靖国神社法案をとりあげることにする。靖国神社の来歴ももちろん重要だが、戦後において閣僚の靖国参拝を強く要求するような人びとが靖国神社を公式にどう位置づけようとしたかがこの法案にははっきりと現われているからである。 http://ja.wikisource.org/wiki/靖国神社法案 第一条 靖国神社は、戦没者及び国事に殉じた人人の英霊に対する国民の尊崇の念を表わすため、その遺徳をしのび、これを慰め、その事績をたたえる儀式行事等を行ない、もつてその偉業を永遠に伝えることを目的とする。 強調は引用者。このような靖国神社観の下では、合祀された人びとを「慰霊」することがアジア・太平洋戦争を含む近代日本の戦争を「偉業」とし、