「宇宙よりも遠い場所」(よりもい)第1話の水の風景が好きです。私はいつも水や星や夢のことばかりですが、よりもいの星と夢の話はこれまでに書いたので、今回は水の話をしたいと思います。 ※最終話までの内容を前提としていますので、最後まで見ていない方はご注意ください。 1.水辺のこと まずは、耳を澄ませましょう。「宇宙よりも遠い場所」の第1話が始まると、ほら、すぐに汽笛が聞こえてきますよ。ボーッと港じゅうに響くのはきっと船が出る合図でしょう。 出港の汽笛はまだ控えめに聞こえてくるだけですが、これから船の物語が始まるような感じを受けます。南極観測船のしらせ5003、のちのペンギン饅頭号が物語の舞台となるのは第7話と8話、9話、あとわずかに13話といったところですが、それでも船にはシリーズを通した存在感があったと思います。第1話の冒頭で汽笛は船の気配を伝え、呉港に停泊するしらせの舵のカットを経て砂場の