「知事の再選、決まりですね」 投票の3か月も前に、こんなつぶやきが聞こえた。 いま、一強と言われる自民党を向こうに回し、むしろ圧力をかける組織がある。 「票田」を耕し、育て続けるその存在。力の源泉は何なのか、「乱」の地から伝える。 (佐賀放送局 坂本眞理) 3か月前に「勝負あった」!? 今年9月中旬。 県庁3階の記者会見室には、大勢の報道陣が集まっていた。隣県・福岡からのマスコミの姿もある。3か月後に投票を控えた佐賀県知事選挙。 農協の政治団体である佐賀県農政協議会=「農政協」が、現職の山口祥義に推薦状を渡したのだ。 建設業、医師会、商工会…選挙では、様々な団体が候補者を支援する。 でも、特定の団体が推薦状を渡す場面に、テレビカメラがずらりと並ぶのを、私は初めて体験した。 「山口さんの再選、決まりですね」 どこかの記者がつぶやいた。 まだ投票日まで時間はある。 先入観は禁物だが、「票田は農