科学者たちの見解はしばしば対立するにもかかわらず、その不一致が解消され、広い範囲での合意が形成されるのはなぜなのか。自然主義・合理主義・科学的反実在論を緊密に結んだ強固な立場から、不一致と合意形成の一方のみに焦点をあててきた従来のモデルに換えて、新しい枠組みを提案する。戸田山和久による充実した訳者解説も必読。 謝辞 序 第一章 科学に関する二つのパズル──科学哲学と科学社会学における危機についての考察 1 同意説と一致についての難問 2 「ニューウェーブ」による不同意への専心 第二章 科学論争の階層的構造 1 事実に関する同意の形成 2 方法論上の同意形成 第三章 評価の循環を閉じる──認知的価値に関する不一致の解決 1 共変性の誤謬 2 網状モデルと目標評価の方法 3 科学の合理性の網状モデル 第四章 科学の変化についての全体論的描像を解剖する 1 科学の変化の単位に関するクーンの見解