文●中原 仁 3月末、昨年亡くなった音楽プロデューサー、宮田茂樹さんを偲ぶ会の会場に、新緑の季節を先取りしたと思えるほど鮮やかな緑色の花が飾られていた。それが坂本龍一さんから贈られた花であることを聞いて何人かの出席者と、約2週間前に坂本さんが病床から明治神宮外苑の再開発に反対する手紙を都知事に送ったことなどに触れて、早く元気になって戻ってほしい、と話していたのだが ……。 その数日後に訃報が届き、しかも坂本さんが亡くなれられたのが3月28日で、偲ぶ会の日にはすでに天国に昇られていた事実を知り、愕然とした。 坂本龍一さん(1952年1月17日~2023年3月28日)、教授(ここからは敬意と親しみをこめて “教授” と書かせていただく)と知り合ったのは1975年末、芸大大学院在学中の教授がシュガー・ベイブのコンサートにサポート・ピアニストで参加していた頃だった。教授が現代音楽系のフリー・ミュー