橘玲(作家)=税や社会保障は「個人単位」で対応すべき「なぜ『年収の壁』のような問題が起きてしまうのか。その元凶は、この国が税や社会保障を“イエ単位”で考えていることにあります。本来、税や社会保障は『個人単位』で対応すべきこと。それを『イエ=世帯単位』で行っていることに、そもそもの問題があります」 こう指摘するのは作家の橘玲さんだ。橘さんは『専業主婦は2億円損をする』(2017年)をはじめ複数の著書の中で、「年収の壁」など専業主婦をめぐる問題を提起してきた。税制や社会保障で専業主婦を特別扱いすることは専業主婦を優遇しているように見えて、実は差別だと橘さんは語る。 「日本における大卒女性の平均的な生涯収入は2億円以上で、退職金や定年後再雇用を含めれば2億5000万円くらいになるでしょう。それにもかかわらず、年金や健康保険など社会保険料を抑えるために夫の扶養家族になり、年130万円未満しか働かな