半年ほど前に雑誌に掲載された論説の草稿。書いている事態には基本的に修正はない。 雇用不況とデフレ 今年のノーベル経済学賞は、ピーター・ダイヤモンド他二名に対して与えられた。ダイヤモンドらが受賞した理由は、「サーチ理論」の貢献による。ダイヤモンドらの受賞を祝して、ポール・クルーグマンはさっそくニューヨークタイムズのブログに「サーチ理論から学べること」をサイトにアップした。まずクルーグマンは、サーチ理論というのは、特に労働市場を念頭に置くとわかりやすいという。実際にダイヤモンドらの業績は、主に労働市場に対してあてはめたものだ。通常の経済学では、賃金の高低に応じて、労働需要と労働供給が一致することで「完全雇用」が成立する、めでたしめでたし、となると説明されている。だが、この経済学の戯画はあまりにも労働市場を単純化している。実際には労働市場には、いろんなタイプの人材を欲している雇い手と、またいろん