近年の日本国債をめぐる危機的状況を伝え、国債価格暴落のタイミングを2019年と予測したことで話題となっているリアルノベル『日本国債暴落』。今回は同書の冒頭部分を無料公開する第2回となる。第1回、発売前に公開した著者インタビューと併せてお読みいただきたい。 山城達也は、千葉県柏市の郊外住宅で育った。小さい頃はサッカーに明け暮れ、中学に上がるとき、柏レイソルのユースチームに所属したこともあった。山城の父親は、総合商社に勤めており、息子にモノの価値が国、地域によって異なり、それを利用して利鞘を稼げることをたびたび説いていた。そんな父の影響もあってか、物心つく頃から、いつか自分も世界を股にかけてビジネスを展開したいと漠然と考えていた。 東京大学経済学部に通う大学3年時の夏季休暇中、入学当初から友人関係であった斉藤剛(つよし)の勧めもあって、投資銀行のサマーインターンシップに応募した。斉藤は経済学部