ブックマーク / jp.rbth.com (14)

  • 第二次世界大戦後、ソ連の傷痍軍人に何が起きたか:暗い噂は果たして真実か

    ソ連は、第二次世界大戦後で戦った身体障害者のために、特別な療養所を組織した。そこは劣悪な条件だという噂が囁かれた。だが、様々な情報を総合すると、それが事実と異なることが分かった。なぜそんな噂が流れたのか。そして傷痍軍人をめぐる真相は?… 「腕や足のない、何十万もの障害者が、駅や路上その他の場所で、人々に懇願し、物乞いをしている。勝利を収めたソビエト市民は、彼らからあからさまに目をそらしている。勲章やメダルが彼らの胸に輝いているが、その彼らが料品店の近くで釣銭を乞うている!こんな状況はがまんできない!どうにかして彼らをどこかへ片付けてしまえ。元の修道院とか島へでも送ってしまえ…。こうして数ヶ月のうちに、ソ連では、通りからこの『恥さらし』を一掃した。かくして、これらの救貧院が生まれたのだ…」 レニングラード(サンクトペテルブルク)出身の美術史家エヴゲニー・クズネツォフは、ロシア土からの、第

    第二次世界大戦後、ソ連の傷痍軍人に何が起きたか:暗い噂は果たして真実か
  • スターリンの影武者はどうなったか

    高齢の「諸民族の指導者」の影武者を務めたのは24歳のダゲスタン人だった。そして誰からも疑われなかった。 ダゲスタンのある村出身の若き青年フェリクス・ダダエフが正式な替え玉となる以前から、スターリンには3人の影武者がいた。替え玉を見つけることは、1920年代からすでにクレムリンの警護を指揮していたニコライ・ヴラシク将軍が提案していた。警護担当者らは、スターリンには敵が多すぎ、労働者の会合に赴くのは危険だと考えたからだ。 この判断は正しかった。最初の影武者、コーカサス出身のラシドフは、彼の車列が赤の広場を通過する際に爆弾で吹き飛ばされてしまった。だがダダエフの経歴はさらにすごい。第一に、彼は55年間事実を隠し、家族にも真実を語っていなかった。第二に、彼はまだ生きている。現在なんと100歳だ。 戦死扱い ダダエフは1920年に生まれたダゲスタンの高地にあるカジ・クムフ村で生まれた。幼い頃から牧人

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  • ロシアでもっとも危険な植物のひとつを紹介しよう

    バイカルハナウド(ソスノウスキーのホグウィード)は一見したところ安全で害のないように見え、ディルに似ているからと言って騙されてはいけない。この悪魔のような植物の狙いは、人に泣き叫ぶような痛みを与え、場合によっては死に至らすことである。 ロシア人は夏になると、特別な防護服を身に着け、刃の鋭いスペード(踏みすき)を手に持ち、バイカルハナウド(ラテン名=Heracleum)に立ち向かう。このディルに似た巨大な植物は、命を危険に晒すだけでなく、文字通り道路ぎわから私邸の庭にもどこでも生長する。では、なぜそこまで危ないと言われているのだろうか? バルカンハナウドがロシアにもたらされた背景 第二次世界大戦後の困難な時期、ソ連で農業生産の再興が必要とされる中、バルカンハナウドの物語は始まる。集団農場の指導者たちは、動物たちの飼料問題を抱えており、安価なかいばを求めていた。そして農学者はトルコやジョージア

    ロシアでもっとも危険な植物のひとつを紹介しよう
  • 日本のアニメに描かれるロシア人

    のアニメで描かれるロシアの登場人物は長い間、実際とは異なるステレオタイプ(とはいえ、西側諸国の人々が抱くステレオタイプとは違っているが)に基づくものであった。しかし、ここ20年は、紋切り型のロシアのイメージを超えたものになってきている。 謎の国ロシアは一風変わったストーリーや派手な画風、風刺的作風を特徴とする日のアニメの作家、監督、脚家たちにとって、ぴったりの研究ネタである。 西側の人々にとってロシア人は、厳格で、ウォッカとボルシチが大好きで、寒さに強いというイメージである。では、日のアニメの中で、ロシアのルーツを持つ登場人物は一体どのように描かれているのだろうか? ヒーローとしてのロシア  アニメの中に登場するロシアの登場人物のイメージの真髄といえば、国擬人化歴史コメディ漫画「Axis Powers ヘタリア」(2009)でロシアとして描かれるイワン・ブラギンスキーだろう。シリ

    日本のアニメに描かれるロシア人
  • 戦争映画の最高傑作『炎628』について知っておくべき9つのこと

    第二次世界大戦を描いたこの映画は、最も恐ろしく最も難解な映画でもある。一度見たらなかなか頭から離れない。 『炎628』はしばしば戦争映画史上最高の傑作と言われ、間違いなく世界で最も人気のあるソ連映画だ。この映画は第二次世界大戦の一部分を、ベラルーシの十代の少年の視点から描いたものである。『炎628』は劇中ずっと戦争の残酷さを憚ることなく見せつける。リアリズムを徹底したこの映画は、戦時中の人間の暗い所業ほど恐ろしいものはないということを教えてくれる。 この映画を見たことがないなら、絶対に見るべきだ(Russian Film Hubで『炎628』を見るにはこちら)。もし見たことがあっても、これらの9つの事実を知れば、映画がもっと面白くなるだろう。だが気を付けてほしい。最後の事実はネタバレだ。 1. 撮影中、実包を使用した

    戦争映画の最高傑作『炎628』について知っておくべき9つのこと
  • ハリウッドがいかにソ連史に関する嘘を育んでいるか

    George Mendeluk/Roadside Attractions, 2017; Daniel Espinosa/Worldview Entertainment, 2015; Edward Zwick/Bedford Falls Productions, 2008 ロシア人の多くは、ロシア(あるいはソ連)を描いたハリウッド映画やイギリス映画を観て顔を手で覆いたくなった経験を持つことだろう。スクリーンに映るナンセンス、でたらめ、嘘の数々を目にして、ロシア人は西側の人々が彼らを映画で描き出す方法を特徴付ける言葉として「クリュクヴァ化」という新語を思いついた。「クランベリー」を意味する「クリュクヴァ」が語源だが、この語は俗に「見せかけのもの」を意味する。ロシアを描いた映画ロシア国外の観客に向けていかにステレオタイプ化されて作られてきたかを示している。 ここで皆さんに、ソ連史上の出来事を題

    ハリウッドがいかにソ連史に関する嘘を育んでいるか
  • ソビエトでボディービルダーが違法とされ、インディアンに熱狂した理由(写真特集)

    彼らは地下室に身を潜め、警察から逃げ、子供用品や豚の餌からプロテインを得ていた。ソビエト連邦において筋肉を鍛えたい者の境遇はこのようなものだった。 おそらく、ソビエト連邦でボディービルダーほど苦労したスポーツ選手はいないだろう(ただし空手家も同様に楽ではなかった)。彼らは住居の地下室でトレーニングをし、通常のウェイトの代わりにレールのような鉄塊を持ち上げたり、一瓶のウォッカと引き換えに違法に工場の重りを切り出したりしていた。そう、皆に共産主義イデオロギーが押し付けられていた国で、筋肉を育てることは容易ではなかったのである……。基的に、ボディービルダーと共産主義は極めて相性が悪かった。

    ソビエトでボディービルダーが違法とされ、インディアンに熱狂した理由(写真特集)
  • ロシア語はなぜそんなに難しいのか?

    「なぜロシアは」シリーズの記事で、一つ一つの問題に詳細に答える。今回は習得が難しい、美しい言語、ロシア語を取り上げる。 日人のロシア語通訳、岡茉結さんはロシア語のアルファベットを初めて目にしたときのことを思い出し、「なんだか馴染みのない形の文字がたくさんあるなと思った」と話す。ローマ字に慣れている外国人(たとえアジア人でもほとんどの人は英語には触れたことがある)はまず文字を見ただけで、ロシア語が何やら特殊な言語であるということが解るだろう。 不可解な文字 外国人を対象としたロシア語の個人教師ナタリア・ブリノワさんは次のように話す。「外国人はロシア語に33の文字があり、音はそれ以上にあるということを知ると何やら落ち着きをなくし、混乱する。しかもロシア語は書かれている通りに発音しないことがあり(たとえば“хорошо”{良いの意}という言葉は子音がoになっているが、アクセントのない子音をア

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  • 共産主義空手:なぜ本来の空手より残酷で血生臭かったか - ロシア・ビヨンド

    どちらかと言えば残忍な市街戦と共通点の多かったソビエト版空手は、ソビエト地下社会の住人の間で大変人気があった。しかし、これはソビエト政府の極めて否定的な反応を招き、この競技はついに禁止された。

    共産主義空手:なぜ本来の空手より残酷で血生臭かったか - ロシア・ビヨンド
  • オウム真理教をテロ組織と認定

    1990年代に人気を誇っていた新興宗教団体「オウム真理教」。多くの人はすでに消滅したものと考えていた。しかし実際には、この20年の間、ロシアでの影響力をさらに強めていたのである。 9月末、ロシア最高裁判所はカルト教団「オウム真理教」を「テロ組織」と認定し、活動を禁じるとの決定を下した。13人が死亡、およそ6000人が負傷したあの地下鉄サリン事件から20年が経過した今になってこうした決定が下されたことについて、誰もが驚きを隠せない。 事件後、ロシアの人々は少なくともロシアにおいてあの恐ろしいカルト教団は非合法となり、オウムは過去のものになったものと確信していた。そして2016年4月初旬、ロシア連邦捜査委員会のウラジーミル・マルキン報道官はオウム真理教はテロ組織のリストに加えられていると発表した。 しかしその後、オウム真理教はいかなるブラックリストにも含まれていないことが判明した。そんななかロ

    オウム真理教をテロ組織と認定
  • 背筋が寒くなるソ連アニメ3作:人生に絶望させてくれる実存的恐怖

    なぜ、たいていのロシア人は、むっつりと押し黙り、悲観的に見えるのか?ここに一つの解答があるかもしれない。それは彼らの子供時代にさかのぼる。ソ連時代のテレビは、死、喪失、そして無駄な試みといった実存的なテーマをもつ、実に不気味なアニメを放映していた。そのなかでもとくに重苦しいものをいくつか選んでみた…。 ソ連のアニメは巨大産業で、子供のための娯楽だけでなく、いわゆる「大人のためのアニメ」も生み出した。だが、「大人のための…」といっても、セックス、冒涜、アル中などはほとんど含まれていない。いや、そんな類のものとはぜんぜん違うのだ。 「大人のアニメ」の多くは、人間のようにしゃべる動物など、子供向けのテーマで始まるが、やがて重苦しいストーリーの展開を経て、暗い帰結に至る。しかも、そういう「大人のアニメ」には、放映時間が指定されていなかったため、あらゆる時間帯で放送される可能性があった。その結果、ア

    背筋が寒くなるソ連アニメ3作:人生に絶望させてくれる実存的恐怖
  • 「ゴム製の軍隊」:ロシアで最も奇妙な部隊だが既に“戦歴”も

    ロシア軍はわずか3分もあれば、アラジンの魔法のランプみたいに、ゼロから機甲師団や飛行連隊をつくり出すことができる。ただしゴム製だけれども。 ロシアの軍隊勤めにはユーモラスな面もある。兵士たちは、いろんな活動、作業の合間に、戦車を「ふくらます」訓練もするのだ。 だが、そういう戦車の「戦闘」は、映画で見るようなものとはぜんぜん違う。これは一種の囮(おとり)であり、その必要性が初めて示されたのは、1999年のユーゴスラビアにおいてだった。

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  • 1967年ソ連タイムカプセルの未来予測

    ソ連100周年(ロシア革命100周年)の2017年に向けて、未来の子孫たちに国民がメッセージを書き、タイムカプセルに入れた。当時の人々は、100周年のはるか前にソ連が崩壊し、東西冷戦が終結しているなどとは思ってもいなかった。 ソ連50周年(ロシア革命50周年)の1967年に当時の国民が子孫に残したタイムカプセルが、次々と開封されている。中でも印象的なメッセージ5通を、「ロシア・ビヨンド」が選んだ。 ノボシビルスク市「月と火星を開拓」 「親愛なる子孫さま、今日はソ連政権100周年の特別な日ですね。偉大な栄えある記念日を熱く祝福します。私たちの時代はおもしろいですが、あなたたちの時代はもっとおもしろいのでしょう。私たちは共産主義を構築中で、あなたたちは共産主義のもとで暮らしているはずです。私たちの素晴らしい青い惑星を見事に開発し、月を開拓し、火星に降り立って宇宙へと邁進し続け、宇宙船はすでに銀

    1967年ソ連タイムカプセルの未来予測
  • 深宇宙からの不思議な信号

    カラチャイ・チェルケス共和国ゼレンチュクスキー地区ニジニー・アルフイス村、ロシア科学アカデミーの特別天体物理観測所の電波望遠鏡「RATAN-600」= セルゲイ・ファデイチェフ撮影/タス通信 「ロシア科学アカデミー」の電波望遠鏡が「不思議な信号」を去年の春に捉えていたことが明らかとなり、欧米の科学者はヘルクレス座の恒星系「HD164595」に生命体が存在する可能性を示唆した。ロシアの天体物理学者は、なぜこの発見を1年以上も隠していたのだろうか。一体どんな信号なのだろうか。 ロシア連邦カラチャイ・チェルケス共和国ゼレンチュクスキー地区ニジニー・アルフイス村にある、ロシア科学アカデミーの特別天体物理観測所の電波望遠鏡「RATAN-600」は2015年5月15日、珍しい強さの信号を捉えた。波長2.7センチの信号は2秒続いた。この種の信号としては、非常に長い時間である。地球に最も近い月からの波長は

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