鎌倉幕府に関する統一された定義は存在しない。なぜなら鎌倉幕府とは、源頼朝を中心に彼をとりまく様々な人々の営みの複合体だからである。 だからといって「鎌倉幕府は存在しない」という人はいない。 「鎌倉幕府」という言葉は源頼朝が生きた時代はもちろん、相当後世に至っても「鎌倉幕府」という言葉は存在しない。現在我々が「鎌倉幕府」と言うとき、それは頼朝が作り上げた組織を今日の我々が「鎌倉幕府」と呼称しているだけである。 だからといって「鎌倉幕府は存在しない」という人はいない。 「鎌倉幕府」の成立過程を考証するときに主に使われるのは、鎌倉幕府によって作られた『吾妻鏡』であって、もちろん鎌倉幕府側に都合よく編纂されている。 だからといって「鎌倉幕府の実在性は疑わしい」という人はいない。 「鎌倉幕府は実在しない」「鎌倉幕府は捏造だ」「鎌倉幕府の実在肯定派も否定派もどっちもどっち」という人は、いないはずである