ブックマーク / www.nli-research.co.jp (8)

  • 出生「数」変化で知る都道府県の「本当の少子化」(2)-東京一極集中が示唆する出生減の理由-

    の合計特殊出生率(以下、出生率)が2022年は1.26であると発表されたことで、出生率に関する記事が増えている。しかし、いまだに「出生率とは何なのか」十分に理解しないまま原因分析に入ってしまうケースが少なくないように思われる。その場合、必ず「あんなに出生率の低い東京都は少子化促進エリアだ」というような議論が浮上する。 はたして、これはいかがなものか。出生率の計算式の因果関係を理解したうえで慎重な検討がなされなければ、単なる若者に人気の都会叩きにとどまることになる。 そもそも、出生率が上下する要因は3つある。 1.既婚者(日は98%が婚内子)のもつ1組当たりの子どもの数の減少 2.未婚者割合の増加(日では未婚者の出産に占める割合は2%程度で捨象する水準) 3.測定エリアにおける未婚女性の移動状況(日国全体では移民比率が2%程度なので捨象できるが、都道府県以下の単位では出生率に大きな

    出生「数」変化で知る都道府県の「本当の少子化」(2)-東京一極集中が示唆する出生減の理由-
  • 国民負担率は過去最高-高齢化を背景に、今後もさらに上昇するか?

    国民負担率は、過去最高となっている。2月に財務省は、2020年度の「国民負担率」を公表した。国民負担率は、個人や企業の所得に占める税金や社会保険料の割合で、公的負担の重さを国際比較する指標に利用する。毎年、昨年度までの実績、今年度の実績見込み、来年度の見通しを示している。この国民負担率について、考えてみよう。 国民負担率は、国税や地方税の租税負担と、国民年金や健康保険の保険料などの社会保障負担の合計を、所得で割り算して算出する。所得には、国民所得もしくは国内総生産(GDP)を用いる。メディアが主に報じるのは、国民所得を用いた数字だ。 広辞苑(第七版)(岩波書店)では、国民負担率を、「国・地方租税負担と社会保障負担(社会保険料負担)の合計額の、国民所得に対する比率」としている。他の国語辞書も同様だ。国民所得を用いた数字が、国民負担率とされることが一般的といえそうだ。 国民所得をベースとする国

    国民負担率は過去最高-高齢化を背景に、今後もさらに上昇するか?
  • 男女比が迫る社会制度の変更(ニッセイ基礎研究所)

    1. 大都市も結婚難 嫁不足と言えば農山村の話と思われることも多いが、実はそうではない。例えば25歳から39歳までの男女の人口比を全国で見ると、女性1人に対して男性は1.02人だが、神奈川県では女性1人に対して男性は1.10人である。同年齢の未婚の人に限ってみれば、全国平均では女性1人に対して男性は1.40人で、神奈川県では女性1人に対して男性は1.59人である。男女の人口比が1から乖離していて伴侶を見つけ難いという点から言えば、実は大都市である神奈川県の方が地方よりもよほど「嫁不足」であるということになる。 実は男性の結婚難は、大都市、地方を問わない、日全体に及ぶ問題なのだ。 2. 急上昇する男子の未婚率 少子化の背景としてさまざまな要因が指摘されているが、結婚した女性が産む子供数が減少しているだけでなく、結婚しない女性が増加していることも、出生率低下の大きな原因である。50歳時点で未

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  • 家族が認知症になったら-成年後見制度を見てみる

    厚生労働省の資料1によれば、2012年では認知症高齢者数が462万人と、65歳以上の高齢者の約7人に1人(有病率15.0%)であったが、2025年には約5人に1人にもなるとのことであり、超高齢社会の中、認知症への対応が他人事ではなくなりつつある。 認知症が重度になると判断能力が衰え、重要な契約などが当人ではできなくなる。そのときのために用意されている法的な制度が成年後見である。 成年後見制度とは精神上の障害により判断能力が不十分な者について、契約の締結等を代わって行う代理人など人を援助するものを選任したり、人が不十分な判断に基づいて締結した契約を取り消すことができるようにしたりして、これらの者を守る制度である。 成年後見制度には家庭裁判所が法律の定めに従って人を援助する者を選任する「法定後見」と人があらかじめ締結した任意後見契約に従って人を援助する者が選任される「任意後見」とがあ

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  • シンクタンクならニッセイ基礎研究所

    エンゲルの法則は、19世紀のドイツの統計学者、エルンスト・エンゲルがベルギーの家計支出を調べて見つけ出したもので、家計の所得が増えると「生活費(消費支出)に占める費(料)の割合」(エンゲル係数)が低下するというものだ。 個別の家計で所得が増加するとエンゲル係数が低下するだけでなく、歴史的にみても経済が発展する中で家計の所得が増加するとエンゲル係数は低下傾向を辿ってきた。長期のデータが比較できる総務省統計局の家計調査の「農林漁家世帯を除く二人以上世帯」で見てみると、統計が開始された1963年には38.7%だったものが、2005年には22.9%にまで大きく低下した。 ところが、1990年台半ばになるとエンゲル係数の低下傾向は非常に緩やかになり、1995年の23.7%から2005年の22.9%まで10年間の低下幅はわずかに0.7%ポイント、1年当たりの低下幅では0.07%ポイントにとどまって

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  • データで見る「ニッポンの独身者は誰と暮らしているのか」-「結婚のメリットがわからない」独身者の世帯(居場所)のカタチとは-

    ■要旨 日の急速な未婚化について、海外メディアからの問い合わせも少なくなくなった。 その中で、未婚化自体は「結婚形態の多様性」という視点から疑問を持たずに問い合わせてくる海外メディアも、背景にある「非交際化」には驚愕を隠せないようだ。 来であれば成人が1人でいるよりも2人でいる方がコスト面から見れば、経済的なメリットが大きい。 それをなぜあえて成人が1人で貫くのか、そこまで豊かなのか、全くわからないという様子である。 この非交際化について説明をする時、日の独身者の居場所についての説明は欠かせない。 レポートでは、「ニッポンの独身者の居場所」について、国のデータを用いて明らかにし、そこから見えてくる懸念すべき未婚化の促進要因について示してみたい。 ■目次 1――はじめに:急増する「交際相手がいない」男女 2――国勢調査に見る年齢別・男女別 「独身者」の割合 1|2015年の20歳以上

    データで見る「ニッポンの独身者は誰と暮らしているのか」-「結婚のメリットがわからない」独身者の世帯(居場所)のカタチとは-
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    1―家計貯蓄率がマイナスに 2013年度の家計貯蓄率は、現在統計が利用可能な1955年度以降で初のマイナスとなった。かつて日の家計貯蓄率は国際的に高いことで知られていたが、高齢化の影響もあって1970年代半ば頃から低下傾向が続いてきた。現行基準の国民経済計算でみると家計の貯蓄率は1994年度の11.8%から2013年度にはマイナス1.3%まで急低下[図表1]、貯蓄額は1994年度の36.1兆円から13年度の▲3.7兆円まで39.8兆円の急減少となった。 貯蓄=所得-消費で表されるため、所得の減少、消費の増加が貯蓄の減少要因となる。ここで、1995年度以降の家計の貯蓄減少を消費要因と所得要因に分けてみると、消費の増加による部分が▲19.2兆円、所得の減少による部分が▲20.6兆円と両者がほぼ同額となっている。ただし、経済成長を前提とすれば消費が増加することは当然である。1995年度から20

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    謎かけ噺のようで申し訳ないが、少しおつきあい願いたい。 生命保険会社の運営基盤として死亡率表(生命表)は特に重要なものだが、死亡率の数字そのものからは読み取りにくい色々な物語がそこには隠されているのだろう。最近、死亡率に関係するちょっと面白い話1 に出会ったので紹介してみたい。 私は、明治以降、死亡率は単調に改善してきたと漠然と思っていた(戦争による要因は除外)。たぶん皆さんもそうお考えかもしれない。しかし、これは事実ではない。統計によれば、少なくとも明治末期から大正10年までは、乳幼児死亡率が上昇し、これに伴い平均余命は縮小していた(今では想像もできないが、大正10年の乳幼児死亡は30万人を超えており、平均余命への影響も大きかった)。それが、大正10年を境に、乳幼児死亡率、平均余命ともに改善に向かったのである。 なぜ悪化してきたのか、そして大正10年を境になぜ改善に向かったのかという謎の

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