今村核、『冤罪と裁判』、講談社現代新書(2157) 同業者から「冤罪マニア」と言われたりもしたという弁護氏による、冤罪の入門書。エントリのタグは「自白の研究」を用いているが論点はもちろん虚偽自白(第1章で扱われている)だけではなく、「目撃者の証言」(第2章)、「偽証」(第3章)、「物証と科学鑑定」(第4章)、「情況証拠」(第5章)などと多岐にわたる。最近冤罪に関心をもつようになったのでなにか一冊……と考えておられる方にはおすすめ。被疑者の「社会的抹殺」とも言うべき事態に至った例(第1章〈ケース2〉)、警察の組織的な偽証による冤罪(第3章〈ケース6〉)などは、冤罪の恐ろしさを非常にわかりやすく例示している。 本書の特徴の一つは、第二部(6章〜9章)において、裁判員制度を冤罪という観点から考察している点。「私が予想した以上に、国民の司法参加が人権保障機能をはたしたと思われる実例もいくつか重ねら
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