8月1日付のこのコラムで「もう菅政権になっている」と書いたのには、少々込み入ったいきさつがある。新型コロナ感染症がこんな大事にならず、安倍晋三首相の体調が悪化していなければ、菅義偉官房長官は6月の国会会期末にも電撃辞任するつもりだった。来年9月の自民党総裁選に立候補するため「安倍離れ」を始めなければならなかったからだ。それが今や「安倍政治継承」を掲げて後継の座をほぼ手中にしたのだから、政治の一寸先は分からない。 菅氏は「令和おじさん」と呼ばれた昨年来、本気で「ポスト安倍」を狙い、準備していた。「全く考えていない」という答えは、現職の官房長官ならそう言うしかない。 潮時と考えたのは、「桜を見る会」問題で報道各社の内閣支持率がみるみる下がり、長期政権に対する世論の飽きと官邸主導の行き詰まりを痛感した昨年11月ごろらしい。このまま官房長官に長居しては「安倍亜流」のレッテルを貼られる。それは避けた