くじで偶然に選ばれて裁判員になった市民が、悩み抜いて出した結論は「死刑」だった。横浜地裁で16日、裁判員裁判で初めての死刑判決が出た。「加担したくはないが、日本には死刑がある。量刑の公平さを考えないといけない」と裁判員の一人は語った。誰もが罪と罰に向かいあう可能性がある裁判員時代。市民の死刑判断は社会にどんな変化をもたらすのか――。 「重大な結論となった。裁判所としては、控訴を勧めたい」。朝山芳史裁判長は異例の説諭で締めくくった。判決後の会見で、被告に何を伝えたいかを問われた裁判員も「ひとこと言えるなら裁判長が最後に言ったように、『控訴してください』。そうなると思います」と話した。 説諭には波紋が広がった。ある検察幹部は「被告が反省して刑を受け入れると言っているのに、その心情をかき乱す」と批判した。「裁判員の中で死刑か無期懲役かで意見が割れたからではないか」と推測する幹部もいた。 被