【シンガポール=塚本和人】東南アジアで中国から武器を調達する動きが広がりつつある。経済成長が続く東南アジアの新興国は国防力の拡充を図っており、経済的な結びつきが先行する中国と、安全保障面でも関係強化に動き出したかたちだ。中国にも戦略的重要性が増す東南アジアを自国の安全保障戦略に組み込む思惑が透けてみえる。 インドネシアのプルノモ国防相は5月末、同国を訪問した中国人民解放軍幹部と会談。プルノモ氏は朝日新聞の取材に対し、中国から短距離対艦誘導ミサイル「C―802」を購入する考えを明らかにした。同氏によれば、中国以外からもオファーがあったが、インドネシアが製造する軍服や軍靴などの軍用品を中国軍に売り込みたい意向もあって中国との取引を進める方針をとったという。さらに、インドネシア側はこのミサイルを国内で中国側と共同生産することも期待している。 東南アジアの地域大国インドネシアは、冷戦時代には「