バイエルン州に住むクラウディア・Bさん(61)の人生は、息子の誕生により激変した。息子ダニエルさん(28)は、病院の対応ミスで重度心身障害児として生まれ、生涯介護の必要な生活を強いられる羽目になったのだ。 それ以来、クラウディアさんは、息子のために損害賠償金を求める裁判で提訴し続け、どの裁判にも勝訴した。 だが、保険会社は28年過ぎた今も、損害賠償金の一部を支払っただけで、大半の支払いを拒否し続けている。ドイツ最悪の医療過誤スキャンダルとも言われるこの事件で、医療ミスを正当に評価してもらいたいと願い、法の下で闘い続けている1人の母親の姿を追ってみた。 危険サインがあったのに、放置されたままだった産婦 28年前に一体何が起こったのだろうか。筆者は医学や法学の専門ではないため、詳しく説明できないが、メディアの報道(アウグスブルガー・アルゲマイネ紙、シュピーゲル誌)によれば、おおよそ以下の通りだ