日本中の人たちが食べるものに困っていた、戦時中。配給も限られており、その中でもどうにかお腹を満たし、少しでもおいしく・楽しく食べるために趣向を凝らした料理が存在する。 それをまとめたのが、『戦下のレシピ――太平洋戦争下の食を知る(岩波書店)』(以下、『戦下のレシピ』)だ。ドラマ『ごちそうさん』(NHK)や、映画も話題になったマンガ『この世界の片隅に』(双葉社)などの参考資料にもなった名著である。 www.amazon.co.jp 当時の料理を実際に食べると何を感じられるのか、『はだしのゲン』(集英社など)を読んでいた子ども時代から気になっていた。 いま作れば、当時の食生活と切実さを肌で感じられるはず。 ごはんがドーンと増える?「楠公飯」 『戦下のレシピ』は、女性誌に載ったメニューを中心に掲載している。 最初は『主婦之友』昭和19年4月号で後藤貞子氏が紹介する玄米の炒り炊きだ。 通称・楠公飯