前向きに考えよう、やりがいを持とう、という“ポジティブが善”の風潮が強まる中で、ネガティブな感情を言葉にできない若者が増えているという。悩める人々との対話を重ねてきた恐山の禅僧、南直哉(66)は、「20代、30代の人たちは特に、『対話』の能力が退化しつつある。ネガティブな感情を閉じ込め続けると、必ず心や体に支障をきたす」と警鐘を鳴らし、「人間はそもそもネガティブ。無理に夢や希望を持つ必要はない」と断言する。幼少期から、極限まで「死」と向き合ってきた僧が説く、心の重荷を軽くし、人生を取り戻す方法とは。(取材・文:山野井春絵/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 青森県下北半島の北部に位置する「恐山」。地獄を思わせる火山岩と、極楽のように澄んだカルデラ湖とが織りなす、独特の風景が広がっている。1000年以上昔から、人々はこの地で「あの世」に思いを馳せ、信仰してきた。「