従来から、発達障がい、特に自閉症スペクトラムについては、早期診断・早期療育の重要性が強調されてきました。ここ最近は、欧米を中心に早期療育の効果が科学的な論文として次々に発表されるようになり、早期診断・早期療育への関心が以前にもまして高まっています。 その一方、早期診断そのものにどんなに善意に満ちた意図があったとしても、それを肯定的に受け止め、その後の人生に前向きに生かしていくことの難しいご家族はまだまだ少なくありません。早期診断の重要性が声高に語られているからこそ、診断を受けたことによる苦痛や「普通の」世界から切り離されてしまったという断絶感は、むしろ決して無視すべきものではないでしょう。診断を受けたことをきっかけに、ご家族が精神的に不安定になってしまったり家族関係が悪化していったりすることもけっしてまれではありません。 診断のみならず療育もご家族を追い込む原因になることがあります。強制的