あなたは『みだれ髪』を知っていますか? そう、明治時代にうまれたあの歌集の金字塔、与謝野晶子さんの『みだれ髪』です。「もちろん知ってるよ、国語の教科書で呼んだもん」という方、僕もそう思っていました。すっかり理解している気になっていたのです。この表紙のご依頼を頂くまでは。 という訳で、これまた近代歌集の金字塔『サラダ記念日』や『チョコレート革命』の著者である俵万智さんによる、『みだれ髪』現代語訳版の表紙を描かせて頂きました。デザインは、斬新なアイデアと繊細な仕上げで、数々の素敵な装丁を手掛けられてきた名久井直子さん。どこを取っても豪華すぎて鼻血が出そうな布陣ですが、実はご依頼当初はお断りさせて頂くことも念頭に置いていました。 というのも、『みだれ髪』は前述したように誰もが知っている名作中の名作。名作とは優れているということ。それは流行にだけ留まらず、時代に流されない耐久度があったということ。