近、現代の建築、デザイン史のなかでフィンランドのモダン・デザインは独自の位置を確立し、1950年代以降、国際的に高い評価を得てその後の世界のデザインシーンに大きな影響を及ぼしました。自国の自然と風土に根ざしながら、人々の豊かなくらしの実現と多様な社会への還元という視点からデザインを追求してきたフィンランドのデザインは、「すべての人々にとってあらゆる観点からよいデザイン」という、本当の意味でのユニヴァーサル・デザインを達成しています。フィンランドのデザインは、今も昔も「スオミ※の森」に寄り添い、美術や音楽など領域をこえた創造活動と結びあいながら、常に豊かで幸せな生活の実現を目指してきました。 フィンランドといえば「ムーミン」を連想する方も多いでしょう。フィンランドの森に住むトロール(妖精)の「ムーミン」は、画家で作家のトーヴェ・ヤンソンが生み出した童話『ムーミン』の主人公です。ムーミンが家族