ワープロが誕生してから20年が過ぎた。立教大学の産業関係研究所では、'98年12月9日、“日本語環境の未来---ワープロ誕生20年と今後”と題したシンポジウムを開催した。ワープロ草創期の開発者を招いた講演会とパネルディスカッションである。過去20年の“ワープロ史”を振り返るとともに、今後のあるべき姿についても議論が交わされた。富士通(株)の神田氏から、開発当時には極秘であったろうメモが公開されている。 立教大学産業関係研究所自体については後述する。 『JW-10』ははじめからワープロを目指したわけではない 今回のシンポジウムでは、まず、(株)テックの森健一取締役が、(株)東芝在籍中に開発に携わったワープロ『JW-10』に関して講演した。'70年代なかば、欧文タイプライターに匹敵するものが日本語にはなかった。このため、森氏らのグループは当初、漢字かな混じり文に変換する技術を研究し始めた。同氏