よく「電子教科書」「デジタル教科書」と言われるが、厳密には「教科書」ではない――教育現場で利用されている教材の電子化は、さまざまな課題が山積している。教科書出版の老舗、東京書籍がACCESSとともに発表した電子教材のビューワが業界に投げかける意義とは? 両社に聞いた。 弱視や色弱、読み障がいなど、一般的にレイアウトされた書籍を読むことが難しい人にも平等な学習機会を提供する教材。文字の拡大や色の変更が容易な電子書籍は、登場の初期から障がい者に対応できる機能が期待されてきた。 しかし、教科書には一般書籍とは異なる特殊なレイアウトで組まれており、紙の紙面をデジタル画面上で正確に再現するだけでも高度な表現力が求められる。また、障がい者対応という要件も求められるため、実用的な障がい者向け電子教材はなかなか普及してこなかった。 2014年2月、日本の教育界で最初期から教科書制作に関わってきた教科書出版