村上氏は終始「コーポレート・ガバナンス」を軸としながら次々と投資案件を手がけていきます。中でもソフトウェア産業に身を置く私にとっては第6章「IT企業への投資」がいちばんの見どころでした。 村上世彰『生涯投資家』 (2017-06-21) ドッグイヤーすら遅い 投資術の説明のくだりで投資家の恐ろしさが味わえました。なにが恐ろしいのかと言うと、「お金を突っ込んでそれを契機に投資対象が変化する」ことを指標の1つ(IRR)として投資判断をしていることです。 これは事業会社の基準に照らすととんでもないスピード感です。プロの投資家はこれほどまでの短期決戦を、資本構成の歪みを取り除き尽くまで(あるいは敗北して資金が尽きるまで)仕掛け続けるのでしょう。「情報産業」という言葉は彼らプロの投資家のためにあるのではないかと思わされました。 実際に村上氏自身、複数回に渡って「ITの投資は待ちが必要」とすら述べてい