日本の大都市圏の鉄道は世界一複雑と言われる。複雑な路線網もさることながら、多数の鉄道会社が入り組んで、路線を展開させているからだ。 都市の住民の大多数は、大都市圏の鉄道ネットワークを鉄道会社ごとにではなく、地域単位で敷かれている路線ごとに認識している。したがって、事情をよく知らないと、駅で乗り換えた際に乗車券の購入に必要な代金である運賃が通算されず、ここで初めて鉄道会社が異なる事実に気づくケースも多い。 たとえば、首都交通圏内の「渋谷―吉祥寺」間を結んでいる井の頭線が、どの鉄道会社の路線であるかについて尋ねられたら、東京都内にお住まいの方でも全員正解とはならないはずだ。正しくは京王電鉄ではあるものの、小田急電鉄であるとか東京急行電鉄の名を挙げる人の数も結構多いであろう。 同じく首都交通圏内にある、東上本線という正式名称をもつ東武鉄道の路線は通常「東武東上線」と呼ばれる。この路線は主に首都交
