夕刻、テレビをつける。どこもかしこも海老蔵だらけ。うんざりだ。 で、CNNに避難する。英語のニュースはありがたい。意味がわからない分、神経にさわらないから。 「神経にさわるのがイヤなら、はじめからテレビなんか見なければいいじゃないか」 と、賢明な諸君は言うはずだ。が、そうは行かぬのだな。インターネット登場以前に大人になった人間は、テレビのついていない部屋に一人でいられない。慣れることができないのだ。おそらく死ぬまで。だから、なんとかやかましくない番組にチャンネルを合わせることで妥協をはかる。見ていなくてもつけておく。時には音を消して。ある場合には放送大学の世話になってまで。 時々、ふとわれに返る。 「オレは何を見ているんだ?」 うむ。私は何のためにテレビをつけているのだろうか。 CNNの画面には、ゼロ戦の編隊が爆弾を落とす動画が流れている。モノクロームの古いフィルム映像。戦艦が煙を上げて燃